平成21年度査察白書
国税庁が前年度に行われた査察の概要を公表しました。
平成21年度 査察の概要 | 国税庁
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2010/sasatsu/
注目したのが査察事件の一審判決の状況。毎日新聞の記事では触れていませんが、なかなか興味深いことが分ります。
6 査察事件の一審判決の状況
主要ポイント
○ 平成21年度中に一審判決が言い渡された件数は141件であり、すべてについて有罪判決が出され、実刑判決が7人に出されました。
有罪率は100%ですが実刑率はわずか5%。95%が執行猶予付の判決を受けています。思ったよりも執行猶予になる確率が高いです。
次に1件当たり犯則税額(脱税額)を見てみます。
H19 | 1億2,700万円 |
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H20 | 7,900万円 |
H21 | 8,600万円 |
ところで「2 脱税額の状況」では「告発した事案1件当たりの脱税額は、平均で1億7,100万円となっています。」と記されています。念のため、その他の年も見てみると、1億5,000万円前後ということが分ります。
H17 | 1億5,300万円 |
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H18 | 1億6,700万円 |
H19 | 1億9,500万円 |
H20 | 1億6,300万円 |
- 1億5,000万円の脱税容疑で告発したところ3割減の1億円で有罪になった、
- 100%の有罪率だが95%は執行猶予だった、
ということです。
こういう数字を見ると様々な疑念が沸いてきます。本来ならば完全無罪であるべき事件が、「有罪率100%」という国税のメンツを守るために、無理やり有罪にされているのかもしれません。
このうち悪質だとして検察庁に告発したのは149件(同4件減)で、脱税額は255億円(同6億円増)。税目別では、相続税が過去5年間で最多の6件(同2件増)で、前年度告発がなかった源泉所得税も5件に上った。業種別では不動産業(15件)や建設業(9件)などが多く、都市部での地価高騰の影響とみられる。