パチンコ三共筆頭株主企業:法人税約10億円所得隠し

 パチンコ三共の大株主である有限会社マーフコーポレーション(以下、マーフ社という。株式保有割合15.42%)が、東京国税局の調査によって法人税約10億円の所得隠しを指摘されたとのこと。ここで話が終らないのは、報道によると、マーフ社の社長を三共の監査役が兼務していたことと、さらにその人物が税理士であったことです。

所得隠しを指摘されたのは、毒島会長が100%出資する資産管理会社「有限会社マーフコーポレーション」(豊島区)。毒島会長の保有していた株式や、運用益で購入した不動産などを管理。3月末現在、三共の筆頭株主として15・42%の株式を保有している。1998年の設立当初から、三共の監査役を務める税理士が社長を務めている。

 税務調査では、三共の監査役でもある税理士が社長を務めるマーフ社が行なった、その社長を含む4人に対する約10億円の利益供与について問題になったようです。

 マーフ社は2007年、保有していたパチンコ用のプリペイドカード発行会社「日本レジャーカードシステム」(非上場)の株式約2万株を、三共の監査役を含むマーフ社の役職員ら4人に取得価格とほぼ同額の計約2万円(1株1円)で売却。数か月後、この4人から計約10億円(同約5万円)で買い戻していた。
 売却から買い戻しまでの数か月の間に株の価値が約5万倍に上昇するのは不自然で、東京国税局の調査で、この間の時価は計約10億円と認定されたという。

 非上場会社の株式が数ヶ月で約5万倍になるというのは、まずありえない話で、報道内容が正しいのであれば、当事者であるマーフ社の社長の行動は、税理士という職業も相まって相当問題だと思います。もちろん、マーフ社は三共の毒島秀行会長が100%出資している会社なのでオーナーの意向が強く働いていることは間違いありませんが、このような人物が上場企業である三共の監査役を兼務してもいいのでしょうか。
 4人に渡った約10億円の利益に対しては所得税と住民税がかかります。非上場株式の株式譲渡益ならば合わせて20%ですが、役員賞与ならば合わせて最高税率50%がかかります。その差30%。すなわち単純計算で10億円×30%=3億円、税負担が軽減されます。報道では、株式を譲渡した4人に対して役員賞与として処理したか否かは触れられておらず断定できませんが、株式譲渡益として4人は確定申告した可能性があります。
 なお、三共の有価証券報告書を調べると監査役の税理士が分かりますし、マーフ社の住所が分かります。さらにインターネットで調べると、マーフ社と同一住所の税理士事務所も分かります。
 結果、マーフ社の社長であり、三共の監査役である税理士は、石山俊明税理士だと思われます。