日韓両国の国税庁が脱税情報を交換開始

 日韓両国の国税庁は、税務調査の際、相手の国においても脱税の疑いが生じた場合、即座に情報交換することに合意しました。マネーは国境を越えて動くので、今後他の国とも同様の合意を結ぶことになりそうです。

これまでは相手国からの要請がある場合に限り一部の資料を提供したが、今後は国外脱税容疑が出てくればすぐに韓日国税庁が資料を交換する。

 
 ところで韓国では「納税者保護官制度」というものがあるのですね。少し調べたところ、アメリカなどにも同様の制度があり、それぞれかなりの権限を持たされているようです。
 日本にも納税者の権利を守る仕組みがいくつかありますが、韓国やアメリカに比べたら弱いとしかいいようがありません。

両国国税庁長は韓国の納税者保護官制度についても意見を交換した。 白庁長は納税者の権益を保護するために導入した納税者保護官制度の運営状況と納税者保護官の税務調査中止事例を紹介した。 加藤庁長は納税者保護官制度の運営趣旨と運営現況に大きな関心を表した。

「生涯税金チェック」の公開を始めました

 納税者の権利を意識することを主目的に、年間及び一生涯に支払う税金等(社会保険料を含む)がチェックできる一覧表の公開を始めました。


 また、以下のページを更新しました。

社会福祉法人理事:相続税約2億円超の脱税容疑

 名古屋国税局の査察により、現金の申告漏れが判明した模様ですが、あるところにはあるのですね。
 報道によると、被相続人は、内科医院の開業後、社会福祉法人を設立しています。断片的な情報をもとに調べてみると、いろいろなことが判明しました(もう少し調べれば決算書も分るかも)。
 それにしてもインターネットって凄いですね。

加藤理事は、養父が亡くなった2007年10月、自宅や同市内の不動産など総額30億円を超えるとみられる遺産を6人の親族とともに相続した。
しかし、08年夏頃、千種税務署に相続税を申告した際、このうち現金など約3億6000万円を不正に除外していたという。

タックスヘイブンからの脱税情報の収集

 国税庁が、タックスヘイブン租税回避地)で有名なケイマン諸島から、脱税情報の提供を受けることになったようです。と言うより、今まで租税回避地と情報交換協定が結ばれていなかったことが意外ですが。
 今後、富裕層に対する税務調査や査察のやり方が変わるかもしれません。

日本は海外に資産を流出させる方法などでの脱税を防ぐため、他国と情報交換協定を締結するなど対策を進めている。タックスヘイブンとされる国・地域との交渉も進め、昨年には、英領バミューダと協定締結の基本合意に達したが、まだ発効しておらず、情報交換は実現していない。

海砂採取業者:法人税約1億2000万円の脱税容疑

 脱税容疑で告発される場合、悪質だと判断されているので、ほとんどの時効は7年となります。今回のケースでは2003年まで遡れると思うのですが、告発されたのは2005〜2007年の3年間だけ。
 2003〜2004年と2008〜2009年の税務申告については、残念ながら報道から見えてきません。(福岡国税局は税務調査の結果、問題ないと判断したのだろうけど)

 同組合は2005―07年度の3年間、約5億8千万円の法人所得を申告せず、約1億2千万円の法人税を免れた疑いが持たれている。未申告の所得は県の認可を受けて採取した海砂の売り上げの一部と、認可量を超えて違法採取した海砂の売り上げという。
(中略)
 佐賀県には認可量内の採取を報告していたが、違法採取の疑いを指摘する情報があったため同県が調べたところ、同組合の操業区域で03―06年に採取認可量を超える海砂が消失していたことを確認。

横浜地検が脱税容疑で4社を一斉に起訴

 3月30日、横浜地検特別刑事部法人税法違反容疑で4社を一斉に起訴しました。4社が関連する事件なのか不明ですが、かなり大がかりな捜査をやっていたように感じます。

 横浜地検特別刑事部は30日、法人税の脱税を行ったとして、法人税法違反などの罪で、川崎市幸区パチスロ機ソフト開発「エックス」を起訴、同社社長(60)ら3人を在宅起訴した。
(中略)
 地検特刑部は同日、同法違反などの罪で、群馬県半導体材料製造「フューチャーエナジー」、横浜市港北区のシリコン原料販売「シムテック」、相模原市の美容室経営「エスアイシー」をそれぞれ起訴、各企業の役員ら5人をそれぞれ在宅起訴した。

理美容業大手プラージュ:法人税8800万円の申告漏れ

 報道によると7年間で約8800万円ですから、1年平均で1300万円弱の申告漏れ。重加算税の対象であれば、遡る年数が5年ではなく7年まで可能になります。
 金額だけを見ると確かに大きいですが、少し調べてみると、このプラージュを展開する阪南理美容の年商は約270億円と、理美容業界のナンバー1売上げ企業とのこと。年商と比較すると申告漏れの金額は僅かなので、ニュースになるほど内容が悪質だったのでしょうか。
 
 ところで、理美容業界の上場企業では「アルテ サロン ホールディングス」と「田谷」が有名みたいなので財務内容を確認してみました。

アルテ サロン ホールディングス + 田谷 :EDIUNET
http://ediunet.jp/company/4679+2406

 前者の売上げは75億円、後者の売上げは129億円と、阪南理美容の270億円には及びません。業界ナンバー1企業は、必ずしも上場企業ではないということです。
 それにしても、田谷の株価は異様に割安です。(このエントリーとは全く関係ない話で恐縮ですが)

2008年3月期までの7年間で約8800万円の所得隠しを指摘されていたことがわかった。追徴税額は重加算税を含めて約3500万円とみられ、同社は修正申告したという。

 
 追記 先日(3月11日)以下のような報道もされています。
 

 阪南理美容の昨年度の売上高は約270億円。同社総務部は「再発防止へ指導を徹底したい」としている。